現代ECMを体現する二人のピアニスト② Vijay Iyer
- 2024年01月16日
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感動と革新 ジャズの新たなる章へ
鬼才ヴィジェイ・アイヤーが奏でる『コンパッション』
ジャズの旗手,ヴィジェイ・アイヤーが放つ新境地『コンパッション』。コロナ禍から解放され,苦難の先にアイヤーが辿り着いた,果てなき場所とは? リンダ・メイ・ハン・オー(b)とタイショーン・ソーリー(ds)との濃密かつ自然発生的なインタープレイ,「慈悲」「思いやり」を擁する奇跡の記録を私たちは目撃する。アイヤーの精神とジャズへの深い探究心が宿る“音楽の進化形”が,ここに提示される。
インタビュー/文:杉田宏樹
ヴィジェイ・アイヤー・トリオ左からリンダ・メイ・ハン・オー(b),ヴィジェイ・アイヤー(p),タイショーン・ソーリー(ds) (c)Ogata/ECM Records
『コンパッション』(ECM)
現代ジャズ・シーンにおいて真に創造的な活動を展開する最重要ピアニスト,ヴィジェイ・アイヤーが,3年ぶりの新作『コンパッション』をリリースする。これは前作『アンイージー』と同じリンダ・メイ・ハン・オー(b)+タイショーン・ソーリー(ds)とのトリオ第2弾。デュオ,トリオ,セクステット,弦楽四重奏と,ECMで様々な作品を制作してきた中で,同じ顔触れの作品が続いたのは今回が初めてだ。
「タイショーンとは 2001 年から,リンダとは 2009 年から,別々に長い仕事関係を持っていました。リンダと一緒に仕事をするのはいつも楽しかったし,彼女の聴き方やビートの動かし方が大好きでした。2019年にトリオで演奏するチャンスが何度かあり,同年8月に『いっしょにレコードを作らない?』と提案して,同年12月に録音。2021年春に発表するまでに何回かステージに立ち,その後も2022年の5月まで数多くのコンサートを行いました。それによってトリオは当初の想像を超えて成長することになったのです。公の場でたくさんの実験をすることができたので,同年同月にこの新しいプロジェクト『コンパッション』をレコーディングしました」