The Shape of Jazz Media to come.



Playback Brilliant 70’s Jazz Scene 小川隆夫が見たV.S.O.P. 伝説の田園コロシアム

1977年V.S.O.P.昼の部のステージ
1977年V.S.O.P.昼の部のステージ  写真:内山繁

70〜80年代の日本ジャズ・シーンにおける最重要イベントといえば「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」,中でもひと際ジャズ・ファンの記憶に強烈に刻まれているのがV.S.O.P. ザ・クインテットによる77年と79年の伝説のパフォーマンスだろう。このほどソニーミュージックよりリリースされる「We Want Jazz」シリーズの第4期30タイトルには,このV.S.O.P.が残したライブ盤3作品が含まれるが,ここではV.S.O.P.の初来日と二度目の来日ステージをリアルタイムで体験したジャズ・ジャーナリスト,小川隆夫氏に,その背景とステージの模様,人々の熱狂ぶりをありのままに綴ってもらった。

文:小川隆夫/写真:内山繁

世界中のファンが注目したマイルス・クインテットのリユニオン

1970年代のジャズ・シーンを振り返るとき,いくつかのビッグ・イベントを思い起こす。中でも鮮烈な記憶とともに甦るのがV.S.O.P. ザ・クインテットの「田園コロシアム」コンサートだ。V.S.O.P.——それはまさしくVery Special One-time Performance の名に相応しい夢と華のあるグループだった。
76年の「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル」で実現したハービー・ハンコックの足跡をたどるコンサートにおいて,その名の通り,1回だけのパフォーマンスとして結成されたのがV.S.O.P. ザ・クインテットだ。
コンサートは,ハンコックの音楽的歩みを,折々のグループの再結成によって再現する画期的試みだった。中でも,最大の注目がマイルス・デイビス・クインテットのリユニオンである。ウェイン・ショーター,ロン・カーター,トニー・ウィリアムスを擁した5重奏団が再結成される——このニュースが流されるや,世界中のファンがニューヨークのコンサートに注目した。
しかし,半引退状態にあったマイルスは出演受諾こそしたものの,直前になってキャンセル。代わって登場したのがフレディ・ハバードだった。このときのライヴは77年に『V.S.O.P.〜ハービー・ハンコックの回想』のタイトルで発表され,そこからクインテットを,通称V.S.O.P. ザ・クインテットと呼ぶようになった。

テンペスト・イン・ザ・コロシアム
『テンペスト・イン・ザ・コロシアム』(Sony)

ライヴ・アンダー・ザ・スカイ伝説
『ライヴ・アンダー・ザ・スカイ伝説』(Sony)