ジャズ喫茶巡礼「田舎でジャズ喫茶」其の十九 珈琲アガルタ(静岡県沼津市)
- 2026年02月24日
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※カウンター5席、テーブル4席の縦長24平方メートルの店内。かつてスナックだった店舗をマスターの妻で一級建築士の木村彩さんがリフォーム設計。夫婦によるD.I.Y. で2カ月をかけて壁の漆喰と床の樹脂モルタルを塗った。
※こちらの記事はVol.28に掲載されております。
写真/文:楠瀬克昌
JBL4344スピーカーから流れてくるグラント・グリーンのソウルフルな音がなんとも心地良い。マッキントッシュ・アンプとの「王道の組み合わせ」だが,シリアスにぐっと重く沈み込むわけではなく,カラっとして明るくまろやかなフィーリングだ。「4344を置くことは当初から決めていたんですけど,アンプは,いろいろ検討した結果,いちばんアメリカっぽい感じがするのがこの組み合わせでした」とマスターの木村俊介さん(37歳)。木村さんはその「アメリカっぽさ」を「野暮ったくてちょっと雑な感じ」と表現したが,それは「おおらかさ」と言い換えてもいいだろう。何時間でもリラックスして聴いていられる感じなのだ。木村さんが目指すのは「大音量,会話禁止」タイプのジャズ喫茶ではない。いろんな人たちがここにきてコミニュケーションできる場だ。
東京で生まれ育った木村さんは京都の同志社大学に進学,在学中はジャズ研のコンボやビッグバンドでテナーサックスを演奏し,老舗のジャズ喫茶「ブルーノート」でアルバイトをした。よく通ったジャズ喫茶は「ラッシュライフ」と「ろくでなし」。これらはいずれもストイックなタイプではなく,人とのコミュニケーションを重視する店だが,こうした体験が木村さんのジャズ喫茶観にも影響しているのだろう。2025年 10月に開店したばかりの短期間で,「珈琲アガルタ」は木村さんが通った京都の歴史あるジャズ喫茶にも相通じる,ジャズが好きな人もそうでもない人にも居心地のよい,フランクでフレンドリーな雰囲気を作り上げている。「BGM以上,爆音未満」(木村さん)というそのスタイルは,耳を傾ければとしっかりと音楽が聴こえてくるし,会話の妨げとなるほど刺激的でもない。オーディオによってその空間(雰囲気)を作る,いわばオーディオでその店をデザインする好例がこの店だ。

※彩さん手作りのキャロットケーキ(左)と美濃の名窯、玉山窯の「鼠志野(ねずみしの)」のカップ&ソーサーで供されたコーヒー(右)。
【機材】
スピーカー JBL4344
プリメインアンプ McIntosh MA-7200
ターンテーブル DENON DP-500M
CDプレーヤー DENON DCD- 800NE

※店主の木村俊介さん(左)と妻の木村彩さん(右)。店のエントランスにて。
珈琲アガルタ
静岡県沼津市新沢田町20-2
営業時間 10:00-17:00
定休日 日・祝,月曜
TEL 070-6953-9386
