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ウェイン・ショーターが生前企画していた 未発表アーカイヴ第4部作 第1弾がリリース

昨年3月,89歳で他界したウェイン・ショーター。彼が残した録音は今も鮮やかな光を放ち続けている。生前,ショーターはブルーノートから未発表アーカイヴ・シリーズのリリースを計画しており,その遺志を継いで第4部作が公開されることになった。第1弾は2014年秋のストックホルム・ジャズ・フェスティバルでのレギュラー・カルテットの演奏を収めたもので,メンバーの深い集中と自由な即興が見事に融合している。特に<Zero Gravity>はショーターの音楽観を象徴する楽曲であり,彼の探求心とジャズの限界を越えた自由な魂が感じられる。

文:岡崎正通

60数年の長きにわたってジャズ・シーンの最前線に君臨し続け,ジャズの未来を切り拓いていったサックス奏者のウェイン・ショーター。彼は昨年3月,89才で亡くなってしまったが,ウェインが遺した録音の数々は今なお決して色褪せることなく,ジャズの素晴らしい遺産としてこれからも聴き継がれてゆくに違いない。そんなウェイン・ショーターの死を悼むかのように,素晴らしい未発表演奏の数々がアルバム化され,シリーズでリリースされることになった。もともとは生前にウェインがブルーノートから世に送り出すプランをもっていたもので,第1弾になる本作を皮切りに「Vol.4」までのリリースが予定されている。
「Vol.1」に収められているのは2014年秋,ウェインがレギュラー・カルテットを率いてストックホルム・ジャズ・フェスティバルに出演した時のステージ。ダニーロ・ペレス(p)ジョン・パティトゥッチ(b)ブライアン・ブレイド(ds)からなるバンドは2001年頃に編成されて以来,不動のメンバーによってショーターの活動の中核をなしてきたグループ。何回か日本も訪れていて,ちなみにこれより数か月前にも来日公演をおこなっている。その時のステージも鮮烈な記憶がのこっているが,このアルバムに聴くカルテットのプレイも凄まじいものがある。演奏そのものはかなり自由で,シンプルなモチーフに基づいて即興プレイが繰りひろげられてゆくのだが,4人のメンバーの集中力は凄いものがあって,リーダーの放つ一音一音に敏感に反応しあいながら頂点へと燃え上がる。ま–さにコレクティブ・インプロヴィゼイションの極致!ウェインが描き出す世界は独特のスペイシーな広がりをもっていて,自由に楽想を膨らませながらイマジネイティブな音空間を描き出してゆくのが,じつに独特だ。


※本作収録ののライブ映像を見る

セレブレーション Vol.1
『セレブレーション Vol.1』(Blue Note)