The Shape of Jazz Media to come.



Jaz. in Portrait 木嶋真優&大林武司 Mayu Kishima&Takeshi Ohbayashi

クラシックとジャズの精鋭がコラボし生まれたボーダレスな作品。
「クラシックで学んだ音楽のアナライズ法はすべて構築し直し,自分のメソッドを作り直しました」(木嶋)「どんなジャズでもバランスや型がある。今回は音楽としての完成度の高さを目指しました」(大林)

インタビュー/文:川崎浩

テレビのバラエティー番組などでも活躍するバイオリニストの木嶋真優が本格的にジャズ界に切り込んできた。相棒にジャズピアニストの大林武司を招き制作したアルバム『Dear』である。鮮烈な音色,濃密な音像は,極めて斬新な感覚を提供してくれる。その魅力の秘密を木嶋と大林に聞いた。
木嶋は,幼少からバイオリンを始め,数々の音楽賞を受賞。巨匠・ロストロポーヴィチから「世界で最も優れた若手バイオリニスト」と称賛され,世界で活躍する。テレビにも積極的に出演し,音楽でも“ブルーノート東京”に出演したり,前作『seasons』ではビバルディの<四季>に加えAKB48の<恋するフォーチュンクッキー>を収録するなど枠を超えた活動を行っている。
本作はその「流れ」をさらに推し進めた。木嶋が目指す自由な音楽性を大林がジャズ的に解読して木嶋にフィードバック。クラシックとジャズの両方のマインドを持った新しい音楽が生まれた。
大林はご存じの通り,自身のトリオ「Trio Renaissance」はじめ「New Century Jazz Quintet」「J-Squad」などの中心人物であり,ホセ・ジェームス,JUJU,MISIAなどトップシンガーを支える主軸ピアニストである。発想が豊かで引き出しが多く,先鋭から安定までいかようにも音楽の位置決めができる懐の深さが身上。木嶋の人選は的を射ていたことになる。
「3歳から“楽譜以外タブー”の世界で生きてきて,“自分の言葉を作りたい”とふつふつと感じるようになっていました。3年ほど前にブルーノート東京で演奏してから“殻を破ろう”と行動に出たんです」と木嶋。しかし,「ジャズ」と看板を掲げる作品は今回が初めて。そのきっかけは大林である。「2年くらい前,大林君とブルーノートで共演して,彼なら私の発想を理解してくれる」と声を掛けた。


※本作収録<ワルツ・フォー・デビー>のMVを見る


『Dear』(KING)