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進化し続けるサウンド クラブ・ジャズを再燃させるPOLYPLUSの新たな挑戦

結成10周年を迎えたPOLYPLUSは,TSUUJIIの「このメンバーともっと演奏したい」という想いからスタートした。もともとは自由な実験場のような活動だったが,地上波ドラマの劇伴や書籍の音楽を担当するという経験の中で更に幅広く活動できるバンドとして成長。今回リリースされた新作『コズミック』は,各メンバーの個性と共に,洗練されたアンサンブルが光る作品だ。バンドとしてのさらなる進化を目指す彼らは今,クラブ・ジャズの再燃と、武道館公演という大きな目標に向かっている。

インタビュー/文:西原真志

ファーストセッション時に,このメンバーともっと演奏を重ねていきたいと思った。グループとして名前を付けちゃえば拘束できるかなと目論んで(笑),だからその日にすぐPOLYPLUSという名前を付けたんです。

TSUUJIIがこう語るその日から,ちょうど10年が経過した。進化だけでなく,変化も存在するようだ。

それぞれが他にメインバンドの活動があって,自由な実験の場のような感じでスタートした。でも活動を重ね劇伴なども手がけるようになって,そんな感覚が消えて本腰を入れていこうという意識に変わった(YUKI)。

最初はまるで闇鍋するみたいな,フリーな集まりだった(笑)個人的にも音楽的にもこの10年は大きな変化がある時期だったが,初期衝動はそのままに,バンドとしての方向感とか広がりがより強固になってきた(MELTEN)。

気楽というか,発散というか,趣味の場のような楽しさがあった。その感覚は変わらないが,POLYPLUSという場が自分の精神的にどんどん大事になった。特にTSUUJIIが武道館を目指すと明文化したあたりから(Gotti)。

2018年にファースト作『デビュー』をリリースし,それまで楽しさや自由さを重視し“背負わない”活動をしてきたが,ファンの広がりやこれからの可能性を感じ,“背負う”ことにも重要性を見出していった。

覚えているのは,ブルーノート東京公演での楽屋。ステージを終えて,なんか本格的なバンドみたいだねって自分たちで笑いあってたんです。そこで皆さんの期待に応えたい気持ちも芽生え、POLYPLUSでさらなる高みを目指そうと決意し,RTB(ロード・トゥ・武道館)を掲げた(TSUUJII)。

その一つの到達点を示すのが,新作『コズミック』だ。近年の楽曲を熟成させ進化させ,新しいPOLYPLUSを宣言した。

COSMIC
『COSMIC』(Playwright)


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