McCoy Tyner & Joe Henderson Forces of Nature: Live at Slugs マッコイ・タイナー&ジョー・ヘンダーソン 58年の時を経て蘇る壮絶セッションの記録
- 2024年11月21日
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NY,イーストヴィレッジにあるジャズクラブ「スラッグス」で,マッコイ・タイナーとジョー・ヘンダーソンがヘンリー・グライムス,ジャック・ディジョネットと共に行った伝説のライヴが,58年の時を経て甦った。60’sジャズ・シーンの熱気を体現する本作は,ディジョネットが保存していた音源から制作。彼は「この録音は,音楽が新たな方向へ向かおうとした時代の熱意を映している」と語り,リスナーに驚きと熱狂を届ける。
文:村井康司
1966年の春,ニューヨークのイーストヴィレッジにあったジャズクラブ「スラッグス」で,マッコイ・タイナー(p)とジョー・ヘンダーソン(ts),そしてヘンリー・グライムス(b)とジャック・ディジョネット(ds)からなるカルテットが壮絶きわまりない演奏を行った。この『フォーシズ・オブ・ネイチャー:ライヴ・アット・スラッグス』は,それから58年経ってわれわれに届けられた,ジャズが最も熱かった時代の空気を閉じ込めたタイムカプセルだ。
全5曲,約80分に及ぶこの演奏を収めたテープを保管していたのは,ドラムスを演奏していたジャック・ディジョネット。録音を担当したオービル・オブライエンは,フレディ・ハバード『ナイト・オブ・ザ・クッカーズ』やオーネット・コールマン『フレンズ・アンド・ネイバーズ』,『クリフォード・ジョーダン・イン・ザ・ワールド』などの録音で知られる名エンジニアで,ステレオで録られた本作の音も非常にすばらしい。当時ジャズ・シーンの最前線にいた彼らが,持てる力のすべてを振り絞って新しい何かを掴み取ろうと奮闘するさまが,理想的な音質で捉えられているのだ。
演奏は,27分近くに及ぶ〈イン・ン・アウト〉で始まる。ジョー・ヘンダーソンのアルバム『イン・ン・アウト』(64年4月録音,65年1月発売)のタイトル曲のモーダルなブルースで,スタジオ録音でもマッコイが参加していた。
『フォーシズ・オブ・ネイチャー:ライヴ・アット・スラッグス』(Blue Note)
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