The Shape of Jazz Media to come.



IKEDA Sound Labs. Head Shells IKEDAモノラルカートリッジ&ヘッドシェルで黄金時代のアナログ・サウンドを究める

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※レコードプレーヤーはラックスマンのPD-191AL,トーンアームは石原氏が所有,愛用しているイケダのIT-345CR1

日本が誇るフォノカートリッジメーカー,イケダサウンドラボズ(IKEDA)には,MC型カートリッジはもちろん,トーンアームやアームベース,フォノケーブル,昇圧トランスなどアナログファンのニーズに応える様々な製品をラインナップしている。今回はジャズファンに人気の高いモダンジャズ期のモノラル盤に焦点を絞り,同社が誇るモノラルカートリッジとヘッドシェルを徹底試聴する。ヘッドシェルはその仕上げや材質によりサウンドが激変するファンには応えられない魅力を秘めており,ここでは5機種による聴き比べも行ってみた。

文:石原俊
Photo by Shinichi Takahashi

極めて高度な切削技術で精密に作られた珠玉のヘッドシェル群

IKEDA Sound Labs(以下イケダ)のヘッドシェルの聴き較べを行った。
イケダはわが国を代表するフォノカートリッジメーカーである。その守備範囲は広く,8機種の高級MC型カートリッジのほか,トーンアーム,独立型アームベース,フォノケーブル,昇圧トランス等をラインアップしている。同社が擁するヘッドシェルは7機種。そのうちの6機種が同一デザインで,仕上げやコネクター部分の材質が異なっている。そのなかから5機種を選び,比較試聴を実施することで,仕上げや材質がサウンドにどのような影響を及ぼすかを探るのが今回の企画の意図するところである。
ちょっと待った! 仕上げやコネクター部分の材質が異なるだけで,果たして音がそれほど変わるのか? オーディオアクセサリー否定論者ならずとも,そのような疑問を抱くのは当然といえば当然だ。だが,何を変えても音が変わるのがオーディオである。ヘッドシェルの仕上げや材質が音質にどのような影響をどのくらい及ぼすかを知っておいても損はないのではあるまいか。ともあれ,最後までお付き合いいただけるとありがたい。
ヘッドシェルが独立したコンポーネントとして認知されるようになったのは1950年代の終わり頃のこと。英国のSME(Scale Model Equipment)がユニヴァーサル型トーンアーム3009を発売したことがヘッドシェルというコンポーネント誕生の契機だったとオーディオの歴史は伝えている。その一方で,ユニヴァーサル型のコネクター配置はデンマークのオルトフォン(Orthofon)が決めたという説も有力とされる。
ヘッドシェルの素材としては磁石の影響を受けない非磁性体金属とその合金,樹脂,石材,木材,ガラス,炭素繊維などが考えられる。事実,実に様々な素材から作られた製品が市場に出回っているようだ。素材と音の関係には一定の法則めいたものがあって,カートリッジを取り付けていない状態のものを指ではじいた時に生じる共振音と再生音には一脈通じるものがあるといわれる。

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※モノラル専用カートリッジ9mono

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※9mono+IS-2TGL1

▼IKEDA Sound Labs.ウエブサイト
https://www.islabs.co.jp/