METROPOLITAN JAZZ VOL.08. TOKYO PIANO NIGHT 東京の夜を彩る2つの響き 世界初!ケニー・バロンと山中千尋がピアノ・トリオで競演
- 2025年09月09日
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※左:山中千尋 右:ケニー・バロン
巨匠バロンが自身のトリオと本公演への想いを語る
「ジャズのいまとこれから」を東京から世界に発信する人気のコンサートシリーズ《METROPOLITAN JAZZ》第8弾は,日本とアメリカのトップ・ピアニストがトリオで競演する夢の一夜。巨匠ケニー・バロンが来日し,日本のジャズシーンを牽引する山中千尋と同ステージに立つ。二人はもちろん初共演だ。公演を前にバロンが自身のトリオと本公演への特別な想いを語った。
インタビュー/文:杉田宏樹
2024年3月に第1回が開催された《METROPOLITAN JAZZ》は,「ジャズのいまとこれから」を東京から世界に発信するシリーズ。小曽根真,大林武司,シャイ・マエストロ,ダニー・マッキャスリンら,内外のミュージシャンが様々な会場に出演するスタイルによって,短期間で新しいタイプの音楽イベントの地位を確立している。10月17日に行われるVol.8は,昨年3月のVol.4と同じく「TOKYO PIANO NIGHT」と題して,日本とアメリカのトップ・ピアニストがトリオで競演する趣向だ。「世界最高峰のジャズ・ピアニスト」(ロサンゼルス・タイムズ),「現代で最もリリカルなピアニスト」(ジャズ・ウィークリー)等々,称賛の声が止まないケニー・バロン。そして人気,実力共にキャリアのピークを歩み続ける山中千尋が,同じステージに立つ,世界初のプログラムである。
バロンは78年にロン・カーター・カルテットで初来日し,82年の来日時にはソロ作『スパイラル』を録音。以降の来日歴はバロンの親日家ぶりを証明するもので,クラブとホールへの出演を重ねてきた。今回は2,000席の池袋・東京芸術劇場ということで,バロンには特別な抱負があるのではと思って話を聞いた。
「クラブとホール,どちらの会場でも演奏する喜びと美しさがあります。クラブでは,アーティストと観客の距離がわずか数フィートしかないため,ある種の親密さが生まれます。グラスがぶつかる音や椅子が擦れる音など,周囲の音もその場を盛り上げてくれます。私は東京をはじめ,日本各地の多くのコンサートホールで演奏してきましたが,そこでの経験もまた親密なものになり得ます。《東京JAZZ 2016》にトリオで東京国際フォーラムに出演した際,まるで観客が演奏者と共に一音一音に躍動しているかのようでした。会場の規模に関わらず,観客と感情的な繋がりを築けるかどうかは私たちの責任であり,それが実現した時は魔法のような喜びです」
60年間のライヴ経験があるバロンにとって,他のピアノ・トリオとステージを分かつことは数多く,その中でも2023年の《ジャズ・イン・マルシアック》に出演したアブドゥーラ・イブラヒム・トリオは,特に印象的だった。ピアノ・タッチとメロディ・センスに感銘を受けたという。バロンにとって山中と同じ企画で共演するのは今回が初めてということで,日本でのキャリアが多いバロンが,日本が誇る実力派ピアニストの存在に触れる絶好の機会になることは容易に予想できる。トリオのベーシストは,20年以上の定位置を占めている北川潔。ジミー・ヒース,ジョン・ファディス,トミー・フラナガン,マリア・シュナイダーら,ジャズの歴史を作ったミュージシャンとの共演経験が豊富で,それゆえにバロンの絶大な信頼を得ており,安定的なトリオ運営をもたらしてきた功労者だ。
注目すべきはドラマーのサヴァンナ・ハリスだ。セシル・マクローリン・サルヴァントやクリスチャン・マクブライドのツアーに参加する一方,革新系のアンゲリカ・ニースィアーやトミーカ・リード,さらにはエクスペリメンタル系とも共演する幅広い音楽性を持つ。ジェリ・アレン,ジェイソン・モラン,アンブローズ・アキンムシーレらとの共演が,現在の音楽に中心的な影響を与えてきたと自身は語っている。
「サヴァンナに初めて会ったのは数年前,マンハッタン音楽院で修士号取得を目指していた頃で,彼女のサウンドに惚れ込みました。それ以来,私たちのレギュラー・ドラマーであるジョナサン・ブレイクが自身のバンドを率いる際は,まず彼女に声をかけるようになりました。サヴァンナは情熱と繊細さを持ち合わせ,音楽に適切な感情を込めるタイミングを心得ています。共演者の音を注意深く聴き,意図を持って演奏するドラマーなのです」
一方,山中千尋は,このイベントのために特別なトリオを編成する。キャリア初のソロ・ベース作を発表して,さらに創造性を高める井上陽介と,渡辺貞夫や日野皓正のサポートで実力派を証明したドラマーの江藤良人を起用。バロン・トリオを迎える日本サイドとして遜色のない布陣で臨むのが頼もしい。
本稿の最後を,バロンの本イベントへの抱負を語ってもらうことで締め括りたい。「東京は私のお気に入りの都市の一つなので,また戻って皆さんと私たちの音楽をシェアできることに興奮しています」
METROPOLITAN JAZZ VOL.08 TOKYO PIANO NIGHT
ケニー・バロン×山中千尋
日時:2025年10月17日(金)18:30開演(17:30開場)
会場:東京芸術劇場コンサートホール
出演:ケニー・バロン(p)・トリオ[北川潔(b),サヴァンナ・ハリス(ds)]
山中千尋(p)トリオ[井上陽介(b),江藤良人(ds)]
チケット(全席指定,税込):8,500円 ※未就学児入場不可
・e+(イープラス) https://eplus.jp/metropolitan-jazz/
・ぴあ(Pコード:305-003)https://w.pia.jp/t/metropolitanjazz-vol8/
・ローソンチケット(Lコード:75138)https://l-tike.com/metropolitanjazz/
お問合せ:サンライズプロモーション東京 TEL 0570-00-3337
▼公演詳細
https://www.eight-islands.com/metropolitanjazz08
<お詫びと訂正>
本誌Vol.23(10月号)P47記載のサンライズプロモーション東京の連絡先に誤りがございました。上記番号が正しく,問い合わせの際は上記番号にてお問い合わせをお願いいたします。ここにお詫びし訂正いたします。