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We Want Jazzシリーズ 第3弾「フュージョン・クロスオーバー名盤」 第4弾「70~90年代モダン・ジャズ名盤」

フュージョンとアコースティック・ジャズが激しく交差した時代
混沌の中で生まれたエポック・メイキングな作品群を聴く

文:原田和典

ソニーミュージックが有する膨大なカタログ(Columbia,Epic,RCA,Arista,旧CBSソニー等)から逸品を厳選した「We Want Jazzシリーズ」の第3弾と第4弾が相次いで登場する。第3期には「フュージョン・クロスオーバー名盤」,第4期には「70~90年代モダン・ジャズ名盤」というサブタイトルがつけられており,各30タイトルのリリース。高品質CD「極HiFi CD」を使用しているのも特徴だ。

第3期 フュージョン・クロスオーバー名盤

 Columbia と,その姉妹レーベルであるEpicこそ,フュージョン・クロスオーバー路線の花形レーベルであった。そう私は考えている。今回のラインナップを見てほしい。ウェイン・ショーター,ミロスラフ・ビトウス,ジョー・ザビヌルのトロイカ体制でスタートしたウェザー・リポート(および三代目ベーシストだったジャコ・パストリアス),ジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラ,チック・コリアとスタンリー・クラークのリターン・トゥ・フォーエヴァー(およびそのギタリストだったアル・ディ・メオラ),スタンリー・クラークとジョージ・デュークが組んだクラーク=デューク・プロジェクト,そして代表曲「カメレオン」そのままに変貌につぐ変貌を繰り返したハービー・ハンコックなど重要人物の,エポック・メイキングな作品がふんだんに含まれている。

第4期 70~90年代モダン・ジャズ名盤

 70~80年代は確かにフュージョン・クロスオーバー路線の黄金時代であった。が,一度生まれた確固たるフォーマットが決して消え去ることがないのもジャズの美しさである。つまりアコースティック編成のジャズも,折々の時代感覚を加えつつ盛んに演奏され続けた。70年代の(フリー系ではない)アコースティック・ジャズをドキュメントしたマイナー・レーベルでは米国ではパブロ,コンコード,ザナドゥ,ミューズ,欧州ではタイムレスやスティープルチェイス等が際立っていた印象があるが,Columbia,Arista,RCAといったメジャー・レーベルも折に触れて,「誰が聴いてもジャズに聴こえる」であろう盤の数々を制作している。とくにColumbiaはブルース・ランドバルとマイケル・カスクーナのコンビ(ふたりは85年,新生ブルーノート・レーベルの設立に関わる)の熱意によるものか,ウディ・ショウ,デクスター・ゴードン,アーサー・ブライスなどの力作を,ギラギラのフュージョン・アルバムの間を縫うように発表している。

▶︎公式プレイリスト『We Want Jazz : Sampler』
https://wewantjazz.lnk.to/samplerp2L2

▶︎「We Want Jazz」オフィシャルサイト
https://www.sonymusic.co.jp/PR/wewantjazz/