H ZETTRIO『Dosukoi SS』“この1枚を聴いたらライヴで確かめてみたくなる”前人未到のピアノ・トリオ表現に挑み続ける彼らの流儀
- 2025年06月19日
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※左からH ZETT M(p)、ZETT NIRE(b)、H ZETT KOU(ds)
ユーモラスで疾走感あふれるアンサンブル,狂気すれすれのアイデアと優美な旋律の融合──H ZETTRIOの音楽は,予測不能でありながら確かな説得力に満ちている。毎月新曲を配信する“月1新曲”企画の成果を凝縮した,記念すべき10枚目のフルアルバム『Dosukoi SS』では,トリオとしての進化と遊び心が見事に融合。和風メロディ,数学的構築,ラップやサンバまで自在に飛び回りながら,ジャズの枠を軽やかに飛び越えていく。音楽にジャンルや常識はいらない──そんなH ZETTRIOの現在地を焼き付けた1枚だ。
文:重森洋志
Photos by Hiroki Nishioka
H ZETTRIOの“現在”が詰まった10枚目『Dosukoi SS』
ブロック・コードの高速連打で幕は開き,疾走感溢れる3者の交歓と,ワイルドで無邪気なテンションに,ほど良く脳ミソが掻き回されていく。奇想天外にして狂気にも近いスピリットが暴れだせば軽い目眩を覚え,一変して荘厳なピアノの独奏,懐かしくオリエンタルな楽想,麗しい響きの汎クラシック曲,子供も思わず笑いだす茶目っ気たっぷりな独自作法…。まるで奇才ヴィンス・ガラルディ創作の,幼児まで踊らせてしまうあのミニマル曲群を洗練させ醸成させたパンク・ヴァージョンだ。ごった煮,盛りだくさん,そこから浮かび上がる風流のセンスも抜群。唯一無二のピアノ・トリオ=H ZETTRIOの話である。
12年前。人気バンドPE’Zでサウンドの中核を担ったヒイズミマサユ機(key)と同一人物と噂されているH ZETT M(p)がピアノ・トリオを立ち上げ横浜で狼煙をあげると,翌年には世界最大級のジャズ祭「モントルー・ジャズ・フェスティバル」の舞台に立っていた。
(中略)
ライヴ・バンドとして培ったこの即興性と熱量を,緻密なアレンジで作品として昇華させる“月1新曲”。それらを1年分まとめて,軽やかな常識からの飛翔で音楽の未来を照らす彼らの“今”を封じ込めたのが,この度発売となった『Dosukoi SS』(ドスコイ エスエス)なのである。フルアルバムとして記念すべき10枚目に当たる本作は,これまでのキャリアを総括しながら“新鋭ジャズ”としてさらなる可能性へ向け踏み出す意欲作となった。
「このアルバムは毎月新曲を作っていくという過程の中で,その瞬間ごとのフィーリングを音に変えていった楽曲たちの集合体です。全体像のない中で全体を志向した結果の全13曲といった感じで,そのラインナップは変化し続ける過程そのもの。現在という一瞬を未来へ放った,音によるダイアリーです。タイトルはすべて後づけだったりはしますけど,全体を通してのストーリーは長年培ったバランス感覚によってうまくまとまったのではないかな」…H ZETT Mによるコメントだが,浮世絵風のお相撲さんのジャケット・アートワークもそのH ZETT M が自ら描き下ろした。
●H ZETTRIO ライブスケジュール
『こうさんぽ presents H ZETTRIO LIVE 2025 in misaki』
2025/7/13(日) 三浦市民ホール「うらり」
※クラウドファンディングにご支援いただいた方のみが参加できるライブとなっております。詳細はクラウドファンディングページをご確認ください。
https://camp-fire.jp/projects/831385/view
『H ZETTRIO Jazz Club Tour 2025 – OTODOKENIAGARIMASU -』
仙台:2025/7/17(木) LIVE DOME STARDUST 青森:2025/7/19(土) FOREST BLUE
札幌:2025/7/22(火),23(水)“D-Bop”Jazz Club Sapporo
『STANDING LIVE -Mood in the Dancing- H ZETTRIO with YUCCO MILLER』
ユッコ・ミラー(sax)とのコラボ公演!
2025/8/1(金) 東京キネマ倶楽部
『Speed Music Night with H ZETTRIO 2025』
全曲カバー曲で構成されたライブ!
【-Autumn-】2025/9/13(土) 【-Winter-】2025/12/6(土)
Billboard Live YOKOHAMA
『Dosukoi SS』(apart.RECORDS)
▼H ZETTRIOのライブ映像やMVはこちらからチェック!
http://youtube.com/@HZETTCHANNEL