Look Back CTI Records & Artists CTI ~ 新たなジャズの脈動~第3回 ジョージ・ベンソン
- 2025年05月27日
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1970年代から80年代にかけてジャズ/クロスオーバー・シーンの中心を担った重要レーベル,CTIレコード。今年3月と9月に60タイトルずつ全120タイトルがリイシューされる大型企画「CTI ALLTIME COLLECTION」と連動した連載企画の3回目。今回は後にクロスオーバー・ムーブメントの中心を担ったスーパースター,ジョージ・ベンソンがその礎を築いたCTI時代を振り返る。
文:近藤正義
キングレコードから発売中の「CTI ALLTIME COLLECTION」の第1回発売分は魅力的なアーティストによる強力な作品が目白押しであるが,今回はその中からジョージ・ベンソンのアルバムとその時代について考察してみよう。
クロスオーバー・ムーヴメントがジャズメンのあらゆる可能性と機会を拓いた
ご存じのとおり,ジョージ・ベンソンは1976年にワーナー・ブラザースに移籍しての第1弾アルバム『ブリージン』でジャズのマーケットの枠を飛び出し,一般チャートでプラチナ・ディスクという桁違いの大成功を収め,グラミー賞まで受賞することになるのだが,その直前まで在籍していたのがCTIである。60年代にコロムビア,ヴァーヴ,A&Mとレコード会社を渡り歩いてきたベンソンは,クリード・テイラーの誘いで1970年に本格的に始動したCTIと契約。おりしも1970年から1976年までのCTI在籍期間にはクロスオーバーのムーヴメントが起こっており,ベンソン自身もジャズの定義が変化していくのを感じ取っていた。チャーリー・クリスチャンやウェス・モンゴメリーの後継者と称されながらも,後期のウェスのようにいわゆるストレート・アヘッドなジャズだけでなくボサノヴァ,ビバップ,R&B,ポピュラーソングなど多様性を追求してきたベンソンにとって,これは追い風となった。クロスオーバーのムーヴメントによってジャズの領域が広がり,アーティストとしてのあらゆる可能性と機会が拓けたからだ。
『グッド・キング・バッド』(1976年)
『イン・コンサート〜カーネギー・ホール-サマータイム2001-』(1977年)
▼CTI ALLTIME COLLECTION オフィシャルHP
https://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=46839