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Lifescape 音楽の風景を紡ぐ Taka Nawashiroが表現する現代ジャズギターの核心

Taka Nawashiroのセカンド・アルバム『Lifescape』は,彼が持つ豊富な音楽的バックグラウンドと,ジャズ・ギタリストとしての気概が融合した作品といえよう。15歳でギターを始めた彼は,歌手志望からギタリストへの道を選び,ニューヨークの音楽シーンで研鑽を積んだ。アメリカでの経験を活かし,NYの影響を色濃く受けた.本作では,石若駿のドラムやRuri Matsumura,石川紅奈のヴォーカルも加わり,ジャズの枠を超えた豊かな音楽性が展開されている。特にハービー・ハンコックのカヴァー曲<アクチャル・プルーフ>のバラード調アレンジは必聴だ。

インタビュー/文:佐藤英輔

Taka Nawashiroのアルバム『Lifescape』は,今の王道ジャズ・ギタリストであらんとする気概と非ジャズの聞き手もなんとか引っ張りたいという意欲が綱引きをする仕上がりを見せる。所沢生まれの彼がギターを手にしたのは15歳のとき。それ以前,好きではなかったものの5歳から10歳にかけてヴァイオリンを習ったこともあった。

本当は中学生の頃,歌手になりたいという気持ちがありました。その頃は合唱部を熱心にやっていたんですよ。それが,高校に入ると歌手になりたいっていう気持ちがだんだんとギタリストになりたいという気持ちに変わっていきました。ギタリストとして食べるのにはバンド・マンになるか,スタジオのセッション・マンになるかだと思い,ぼくはセッション・マンになりたいなと思ったんです。

高校卒業後に彼は進路を模索するものの,結局渡米した。その頃,好きだったのはウェス・モンゴメリーやパット・メセニーとか。当初はボストンのバークリー音大に通ったものの,彼はNYのニュースクール大学に転校している。

あまりジャズを勉強していない状態でアメリカに行った方が,なんの先入観もなくジャズを享受できると思いました。ニュースクールはちゃんとTOEFLの成績が必要で英語が大変でしたが,いろんな学校(学部)があり,社会活動にも興味ある人たちが多かったりと価値観がすごく広がったのが良かった。

NYにはパンデミックに入った2020年10月まで居住。彼は帰国前に現地の仲間たちと「そのときの全力を尽くした」という『WHAT WE DO NOW』を録音。それは密を避けようとしたなかでの緊迫した作業だった。今回のメジャー発『Lifescape』は,それに続く2作目となる。今作もNY録音が主マテリアルとなり,曲により石若駿のドラム,Ruri Matsumuraや石川紅奈のヴォーカルを加えた。

Lifescape
『Lifescape』(Universal Music)


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