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Nubya Garcia Odyssey UKジャズシーンの先鋭 ヌバイア・ガルシアが 拓く未知なるサウンドスケープ

UKジャズシーンの最前線を走るサックス奏者ヌバイア・ガルシアが挑む,壮大な音楽の航海。待望のセカンド・アルバム『オデッセイ』は,挑戦的で野心的な作品として,聴く者を新たなサウンドの世界へと招待する。前作『SOURCE』でマーキュリー・プライズにノミネートされた彼女は今回,ジャズの枠を超え,クラシック,R&B,ダブをも交錯させた広大で繊細な音の風景を描き出す。音楽に対する彼女の探求心は,まさに芸術への飽くなき追求の証だ。

インタビュー/文:村井康司

UKジャズを代表するサックス奏者ヌバイア・ガルシアが,4年ぶりの新作『オデッセイ』をリリースした。3人のヴォーカリストを1曲ずつフィーチュアし,自身の編曲によるストリングス・オーケストラを加えてのスケールの大きなサウンドは,彼女の音楽のさらなる成熟と進化を感じさせる。古代ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩『オデッセイア』を語源とする「オデッセイ」は,長い時間をかけてさまざまな場所を巡る冒険を意味する言葉。なぜこのタイトルなのか? を,まず訊いてみた。

このアルバムを冒険のように,旅のように感じてほしかったんです。行く先に何が待ち受けているかわからないけれど,だからといって楽しめないということにはなりませんよね。広大な音の世界と壮大な時間を感じてほしいんですよ,このアルバムの曲を書き始めたときに生まれたメルティング・ポットのような感覚を(ヌバイア・ガルシア 以下同)。

そして今回の最も大きな特徴の一つが,ヌバイア自身が編曲したストリングス・オーケストラの起用だ。最初に演奏した楽器がヴァイオリンで,少女時代にオーケストラでヴィオラも演奏していたというヌバイアだが,ストリングス・アレンジは初めてのことだそうだ。

まあ,“その時が来た”,ということでしょうね。ヴァイオリンもヴィオラも4歳から始めて,18歳のとき以来弾いていないんです。オーケストラの中にいて経験を積みましたが,ストリングスのアレンジは初めての経験でした。だから,どんなことになるのか,どれくらい大変なのか,まったく想像がつかなかったんです。

オデッセイ
『オデッセイ』(Concord Jazz)


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