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ジャズ喫茶巡礼「田舎でジャズ喫茶」其の四 Jazz Bar T(埼玉県さいたま市)

Jazz Bar T
※土間コンクリートの床に土足用のフローリングを施した店内の広さは約40畳。天井には吸音ボードを張り、壁は50db遮音壁を使用。

取材/文:楠瀬克昌

この10年間増えて続けているのが,自宅の一部を改造して「ジャズ喫茶」として開業するパターンだが,そのスタイルの代表的な店が埼玉県さいたま市に2019年4月オープンした「Jazz Bar T」だ。オーナーの小松崎幹雄さん(73歳)は,いわゆる団塊世代よりも少し年下の,高度成長期の1960年代後半に中学,高校を過ごした「ポスト団塊世代」。この店の大きな特徴は,希少な励磁(れいじ)型スピーカーを聴かせてくれることにある。
「励磁型スピーカー」という言葉は多くの読者には耳慣れないものだが,これは鉄にコイルを巻きつけて電流を流すと磁石になる仕組みを応用したもので,1930年代から1940年代のスピーカーはこの励磁型だった。現代でも最高峰とされるウェスタン・エレクトリック社の劇場用スピーカーがその代表だ。ただ,この励磁型は強い磁界を発生させてそれを調整するために大変なコストと手間がかかるために,コストが安い永久磁石を使用したアルニコ型,フェライト型などのスピーカーの登場によってまたたく間に需要がなくなり,姿を消した。
ただ,高能率でスピーカーの振動板の駆動にもっとも重要とされる電磁気制動力に優れ,電圧調整によって磁力を自由に変えることで最適な音色を求めることが可能な励磁型の特長を再評価するオーディオ・マニアは多く,大変希少で高価ではあるものの,その人気は静かに高まってきている。そして励磁型スピーカーの愛好家やファンの間で知られ,その交流の場になっているのがこの「Jazz Bar T」だ。

JazzBarT08
※London Western A-5改 米国ウェスタン・エレクトリック社の関連会社として英国の映画館用に開設されたのがウェスタン・エレクトリック・ロンドン社。外見は米国アルテックとよく似ている。

JazzBarT12
※お気に入りのオリジナル盤。コレクションの基本はブルーノート、プレスティッジ、リバーサイドのモダンジャズ御三家。

【機材】
プレーヤー Garrard 308LP, Exclusive P3a
プリアンプ Westrex RA-1474LP、WE104ACD
パワーアンプ WE-124パワーアンプ゚自作、WE-349ppパワーアンプ゚自作
ホーン Westrex329A
ドライバー Altec288EX、
ウーハー Lansing 815
CDプレーヤー Marantz CD-11-S3

Jazz Bar T
埼玉県さいたま市北区日進町2-328
TEL 090-4128-7919
営業時間 17時-23時
定休日  月,火,水