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立花泰彦(b)をリーダーとする北海道の音楽集団 トータル・ノック・アウト・オーケストラ 自由を希求する2ndアルバム 『醒めることのない夢』をリリース

文/インタビュー:齊藤聡
※お詫びと訂正:本誌Vol.12 P93の該当記事に記載されている筆者名が間違っております。筆者は齊藤聡氏になります。お詫びし訂正させていただきます。

北海道を拠点に活動するトータル・ノック・アウト・オーケストラ(TKOO)が,3年ぶりの第2作『醒めることのない夢』をリリースした。メンバーは1人増えて12人,リーダーはベーシストの立花泰彦だ。
TKOOの魅力は,全員がソロイストとして大きな自由を持つところにある。

「ここでいう自由とは,“勝手にやる”“譜面を無視する”などではなく,“他者の自由”“自分の自由”とのバランスが上手くいっているときのことです。そのような瞬間を感じることが多くなっています」(立花泰彦 以下同)

アレンジもメンバーそれぞれの個性を活かしたものだ。中島弘惠(p)の音を想定していたから,冒頭曲<醒めることのない夢>におけるテーマ直後のソロが中島に「必然的に決まった」。あるいは,唯一ジャズをバックボーンとしないキム・ユウイ(ts)について「身内の中だけでしか通用しない価値観をもとにするやり方にはウンザリしていたのでとても新鮮」だと捉え,<朝,目覚めたら>においてフィーチャーすることとなった。
個性とは音色だけを意味するわけではない。たとえば,吉田野乃子(as)がバンドの混乱状態をなんとか収拾させようと動くタイプだということは,うれしい発見だった。

「僕は,“ひと”のあり方,“ひと”と“ひと”との関係で起こる出来事が面白くて,そのために音楽をやっているのかもしれません」

<良い夢,悪い夢>は奥野義典(as)が各メンバーと次々に対峙するユニークな構成だ。立花にとってはジャズの歴史を体現する曲である。

「いろんな音の変遷を一気に駆け抜けていく中で,“対話”がとても重要でした。音楽がもともとコミュニケーションである,あるいはコミュニケーションをとろうとする過程である,という観点です。はじめはデュオをどんどんやっていって最終的に集団即興と考えたのですが,“コール&レスポンス”の形を取りました」

醒めることのない夢ジャケット
『醒めることのない夢』(NONOYA RECORDS)

▼トータルノックアウトオーケストラのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCqC7LduV5XCCjGVKPATik5Q