The Shape of Jazz Media to come.



SAMARA JOY Portrait 時代を超える歌声,サマラ・ジョイが描く新たな肖像

サマラ・ジョイがまた一歩,大きく成長している。メジャー・デビュー作でグラミー賞を2部門制覇し,いま最も注目される若手ジャズシンガーとなった彼女。新作『ポートレイト』では,伝統を重んじながらも,彼女自身の個性が輝くジャズの新境地を描き出している。自然体でのびやかな歌声,体全体で表現されるそのパフォーマンスは,聴く人すべてを魅了する。次に彼女のステージを目の当たりにする日が待ち遠しい。

インタビュー/文:岡崎正通

ボーカルは喉で歌うものでなく,体で歌って,体で表現するもので“最優秀ジャズ・パフォーマンス賞”を受賞するなど,いま大きな注目をあつめている若手シンガー,サマラ・ジョイの新作『ポートレイト』がリリースされる。そんなサマラに新作についての思いを訊ねてみた。

-ジャズ・ボーカルの王道をゆく本格中の本格派として,スケールの大きな表現を聴かせるサマラ・ジョイ。過去の偉大なシンガーたちが築き上げてきた良き伝統を受け継ぐかのように“ジャズ・ボーカルの王道”をゆく歌唱を聞かせてくれるのだが,それでいて彼女の天性ともいえる自在なフィーリングにはフレッシュな魅力が漲っていて,あらゆるファンを有無を言わせずに感動の世界へと導いてゆくような強い説得力をもっている。

私は16歳まではきちんとジャズを歌ったことがなくて,それまでは両親や祖父,叔父さん,叔母さんたちが歌うのを聞いて,独学で真似をして歌っていたんです。だから自分の声ということでは,子供の頃から他人のものでなく,自分の周りにある音楽と強い繋がりを感じていました。それは今もそうですね

-サマラのお父さんはゴスペル・シンガー,そして祖父母もゴスペル・グループのメンバーで,家ではゴスペル,R&Bなどのレコードが多く流れていた。

ゴスペルは自分にとってとても大切な音楽。私が歌で表現しようとするときにモチベーションを与えてくれるんです。自分の為に歌うのでなく,他人の為に歌うという点でも,ゴスペルから得たものはすごく大きいですね

-そんなサマラの歌声は,とても自然で伸びやか。体の中からオーラが放たれるように,圧倒的な存在感がある。

そう言っていただけるのはとても嬉しいし,私のやっていることが間違いではないということだと思います。ボーカルは喉で歌うものでなく,体で歌って,体で表現するものでしょう。喉だけで歌うと,声が実際に発せられるまでの時間がすごく短いので思いを込めることができない。そうでなく健全なテクニックを使ってパワフルに歌うことによって,逆に自分自身も疲れずに表現することができるんです

▼本作収録のMVを見る

『ポートレイト』
『ポートレイト』