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Makoto Ozone No Name Horses Day1 ブルースとスイングの情熱が結集した20周年記念作 小曽根真No Name Horsesが追求するジャズの本質とは

小曽根真No Name Horses
※小曽根真No Name Horses ⒸYOSUKE SUZUKI

小曽根真が率いるNo Name Horsesの20周年記念アルバム『Day 1』は,ブルースとスイングという,小曽根真が考えるジャズの本質をものの見事に表現してみせた作品だ。アルバムは「Yes, We are a Big Band」と語る小曽根の確固たる信念を反映し,聴き手にシンプルかつ濃厚なジャズのエッセンスを届ける。本作に込められた情熱と愛は,ジャズの真髄を追求し続ける彼の音楽哲学そのものといえよう。

インタビュー/文:小針俊郎

ジャズに求めるものは愛好家によって様々だ。先端的なジャズの鋭さを求める人もいれば,オーソドックスなジャズの中で磨き込まれた名人芸を称揚する人もいる。過去の規矩から脱した実験的な試みを評価する人,アドリブのスリルを好む人,練り込まれたアンサンブルを楽しむ人,他ジャンルとの融合によって作り出される新鮮さを吟味する人等々。 
このようにジャズ鑑賞の愉悦は多角的だが,これらをすべてインテグレートした形態が現代ビッグバンドだろう。ジャズの正統であると同時に先鋭的でもあり,個人と集団が同時的に集散して即興演奏と合奏が併存する。時代環境によって盛衰はあったが,ビッグバンドによるジャズは今日も確実に進化している。

「Yes, We are a Big Band」小曽根真が語るNo Name Horsesの本質

小曽根真率いるNo Name Horsesの結成20周年を記念するアルバム『Day 1』を聴いて私は以上に指摘した所見に確信を持った。おおいにエキサイトしているところに,幸運なことに本誌佐藤俊太郎編集長から小曽根真へのインタヴューのお誘いがあった。出会い頭に私が発した最初の質問は「本作で訴えたいものは?」という平凡極まりないものだったが,小曽根の回答は見事なものだった。
「Yes, We are a Big Band」
俺たちはビッグバンドなんだよ。という一言で制作意図を語ったのである。明晰そのもの。物事の本質を把握する人物にしか言えない言葉だ。

「ジャズと言えばブルースとスウィングですよね。それっきゃないでしょ,というのが僕のなかにあって,No Name Horsesとして20周年になにをやるかと考えたときに,俺たちはジャズバンドだよな,という主張をステートメントとして出すというアルバムにしたかったのでテーマはスウィングとブルース。No Name Horsesがデビューしたのは2005年。ビッグバンドで出来ることをいろいろとやった気もしますが,スウィングとブルースが好きでジャズに入ったという,その原点からいろんな旅をして,自分のホームグラウンドに戻ってきて一番大事なジャズのエッセンスを大切に音楽を作りたいと思いました」

Day 1
『Day 1』(Verve)