AKIKO YANO×HIROMI Step Into Paradise -LIVE IN TOKYO- 矢野顕子×上原ひろみ インプロヴィゼーションの楽園へ誘う第3章
- 2024年12月18日
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20年の絆が生んだ奇跡の共演が,8年ぶりに帰ってきた!矢野顕子と上原ひろみ,ピアノ界のレジェンドによる第三弾ライヴ・アルバム『Step Into Paradise -LIVE IN TOKYO-』。9月に東京オペラシティで行われた圧巻のレコーディング・ライヴを完全収録し,オリジナル曲から名曲のマッシュアップまで贅沢なセッションが堪能できる。初回盤には貴重なライヴ映像も収録。ピアノが描く楽園への一歩をお見逃しなく!
文:原田和典
なんという素早さだろう。つい先ほど,9月24日と25日に行われたばかりのコンサートがもう作品化されたのだ。会心のレコーディングを一刻も早く盤として届けたいという音楽家とスタッフ一丸の「気」が伝わってくる。加えてunpisの描いたジャケットがほほえましい。黒と白を主体とする巨大な楽器2台から生み出されるカラフルな音の群れ,プレイに興じる音楽家の豊かな表情を,そのままイラストに写し取ったかのようだ。
矢野顕子と上原ひろみは2004年,テレビの音楽番組で初めて顔を合わせた。上原のアルバムでいえば『アナザー・マインド』(03年)や『ブレイン』(04年)が話題沸騰していた,まさに彼女が新進気鋭の頃。自分のバンドを率いてオリジナル曲をバリバリにプレイする,という印象がとにかく強かった時期だったはずだ。が,矢野が共演に際して提案したのは文部省唱歌<おぼろ月夜>。ここに視点の面白さがある。意気投合したふたりは,06年のアルバム『はじめてのやのあきこ』の<そこのアイロンに告ぐ>で息もつかせぬ音の対話を繰り広げた。1986年のアルバム『峠のわが家』で,矢野がベニー・ウォレス,アンソニー・ジャクソン,スティーヴ・ガッドらと共にプレイした同曲が,さらにシャープに,過激に生まれ変わったのである。2011年には初の共演ライヴ盤『Get Together ~LIVE IN TOKYO~』を,2017年には『ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO-』を発表。このたび登場した『Step Into Paradise -LIVE IN TOKYO-』は,通算3枚目の共演ライヴ・アルバムにあたる。
会場は約1600人が収容できる「東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル」,“タケミツ”とはもちろん数々のマスターピースを残した作曲家:武満徹にちなむ。ここは2007年2月,セシル・テイラーと山下洋輔のツイン・ピアノ・コンサートが行われた場所でもある。『Step Into Paradise』では当意即妙のプレイと共に,ホールならではのアンビエンスもしっかり感じることができる。
『Step Into Paradise -LIVE IN TOKYO-』(Telarc)通常盤
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