Masayo Koketsu ジャズ解体―極北の即興美 纐纈之雅代の新ユニット「如意ン棒」が到来
- 2025年01月21日
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※『如意ン棒 ~ぜんぶ,流れ星のせい~』レコーディング・ショット・左から纐纈之雅代,潮田雄一(g),宮坂遼太郎(per),落合康介(b,馬頭琴)
インディ音楽シーンにおける唯一無二の存在,纐纈之雅代の最新アルバム『如意ン棒 ~ぜんぶ,流れ星のせい~』が登場。ジャズの枠を超え新境地を切り拓くこの作品は,纐額が「ジャズ史に残る最高傑作を録る」と豪語して吹込んだ意欲作。ギターの潮田雄一,ベースと馬頭琴の落合康介,パーカッションの宮坂遼太郎との初顔合わせによる一切のリハーサルなしの録音が生んだ,圧倒的な即興のエネルギーと深みのあるフリーキー・トーンが響き渡る。
文/インタビュー:齊藤聡
纐纈之雅代(sax)はこれまでの「纐纈雅代」から改名したばかり。その名前での初アルバムとして,『Band of Eden』(SUISUI RECORD,2015年)以来10年ぶりのリーダー作を出した。リハーサルは皆無,ほとんど一発録りの快作だ。
バンド名の「如意ン棒」はインスピレーションによる。アルバムタイトル『ぜんぶ,流れ星のせい』は,あるとき明るい街から流れ星を見たことから付けた。「ぜんぶ,第一インスピレーションです」(纐纈,以下同)
メンバーは個性派揃いだ。「ぱっぱっと3秒以内にメンバーが思い浮かびました。レコーディングのためじゃなくて,久しぶりにバンドをやりたい気持ちがあったから声をかけたんです。みんな忙しいのに,奇跡的にスケジュールが合いました。集まった時点で8割がたは成功。あとは何も考えずに音に集中しました」。
彼女によれば,いわゆるジャズギタリストではない潮田雄一(g)の魅力は音色や佇まい。以前に新宿ピットインで無労村のメンバーとしてプレイする姿を見たとき「いいなあ」と思い,今回がはじめての共演となった。センスや雰囲気がいいし,音色自体から風景や物語が見えてくる。「人間としてではなく音だけで存在している。その一方で破滅的な狂気みたいなものを感じるところも魅力かなあ」
『如意ン棒 ~ぜんぶ,流れ星のせい~』(SOMETHIN’COOL)