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「KIOI JAZZ WEEK」H ZETTRIO SPECIAL LIVE @赤坂プリンス クラシックハウス

文/写真:渡部晋也

東京都港区、赤坂見附から弁慶橋を渡った紀尾井町エリア。かつては特徴的な外観で街のランドマークとなっていた赤坂プリンスホテルが姿を消し、その跡地が複合市街地「東京ガーデンテラス紀尾井町」となった。商業施設やオフィス、そして住居が入る2つの棟と、歴史的建造物である「赤坂プリンスクラシックハウス」からなるこのエリアは、ソフト面でも充実していることで大いに注目をあつめているが、その一環として「音楽でつなぐ街づくり」をコンセプトに2019年から毎秋開催されているのが「KIOI JAZZ WEEK」だ。期間中には様々なコンサートや地元のスクールバンド、アマチュアバンドの演奏がそこかしこで行われているが、「踊りだしたくなる音楽祭」をテーマにした2024年、SPECIAL LIVEとしてH ZETTRIO カクテルコンサートが開催された。

会場となった「赤坂プリンスクラシックハウス」はかつて朝鮮王家の李垠殿下と方子妃の邸宅として建てられた由緒ある建物でお酒や食事を楽しみながらのコンサートということもあり、会場は女性を中心に、品の良さそうな聴衆でほぼ満席だった。
司会の呼び込みで登場したH ZETTRIOの三人。まずはエレガントなから。続いてもカバー曲でをスピード感一杯に聴かせてくれる、ピアノのH ZETT Mは時折ピアノとシンセを同時に操るが、これがまたトリオのサウンドに拡がりを与え、ドラムにボンゴなどを加え、さらに様々なシンバル類を据えた個性的なセットを立ったまま、身体を大きく揺らしながら奏でるH ZETT KOUも楽しさを演出している。そんなスピード感一杯の二人を支えるH ZETT NIREのベースは実に太く、安心感がある。

そんな三人の演奏に沸く聴衆も、従来のジャズファンが埋める客席とは雰囲気が大きく異なっている。速弾きには拍手が上がり、曲によっては聴衆が振る手が波打つ。三曲目からは彼らのオリジナルであるにもかかわらず、きわめて反応がいい。客席は女性が多いせいもあって、まるで男性アイドル歌手のそれに通じる感覚があった。
インターバルを挟んだ後半は5thアルバムのタイトルトラックでもある『レソラ』から、やはりオリジナルを繋いでいく。H ZETT Mがショルダーキーボードを肩にかけると客席は大喜び。数多くのフェスでもれなく客席を沸かせるのも納得のステージング。満足感で一杯の一夜だった。

■Setlist
Moonlite Serenade
Milestones
Euclid
星の海に眠る宝石箱

レソラ
架空都市
情動
In the mood – Dancing in the mood
SUPER MAD MAX
Dynamics
軌跡
encore:月間配信野郎