Takuya Kuroda Everyday 日々音楽に向き合い前に進むこと ビートとメロディの間に息づくトランペット 黒田卓也が創るジャズのカタチ
- 2025年02月20日
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ブルーノート初の日本人アーティストとしてメジャーデビューを果たしてから11年。黒田卓也は,ジャズの枠を超えた音楽を追求し続け,世界各国のシーンでその名を轟かせてきた。待望の新譜『EVERYDAY』は,緻密なトラックメイクとスタジオでの有機的なセッションを融合させた渾身作だ。旋律美と緻密なリズムへのこだわりが光る今作は,日米ミュージシャンとの深い信頼関係を映し出している。11年越しに実現した念願のインタビューで明かされた,彼の原点とは――。黒田本人に話を聞いた。
インタビュー/文:落合真理
All Photos by Genya
ブルーノート初の日本人アーティストとしてメジャーデビューを飾った記念碑的作品『ライジング・サン』から11年。黒田卓也は,その後もニューヨークを拠点に,ジャズの枠を超えた独自の音楽を追求し続けてきた。彼の名を世界中のジャズシーンに刻み込んだデビュー作から一つの時代を経て,2年ぶりのグラウンドブレイキングな新作『EVERYDAY』が完成した。緻密に構築された楽曲とスタジオでの有機的なセッションが掛け合わされた今作は,旋律の美しさとリズムへの徹底的なこだわりが光る傑作である。2014年当時,実は本誌前身のジャズジャパン三森編集長から筆者にインタビュー依頼があったにもかかわらず調整できず断念,それがずっと心残りだったが,このたび黒田本人に話を聞くという11年越しの願いが叶った。はやる胸のうちを抑えながら,できるだけ冷静に話を進めた(つもりだ)が,優しくも鋭い眼差しを向ける彼の前では,その思いすべても見透かされていたように感じる。日米ミュージシャンとフックアップした『EVERYDAY』,その背後にあるストーリーと,黒田が描く音楽について話を伺った。
―― まずはアルバム制作のきっかけから教えてください。
「スタジオに入って,よーいドンで録る作り方に,ちょっと自分の中で限界を感じたというか,以前から家でパソコンを使ってビートを作ったりしていて,そこから何とかならないかな,との思いから始まりました。自分が本当に欲しいビートを作りたいというところから,ビートメイクでは出せない音を補うためにバンドやミュージシャンを取り入れる方法にたどり着きました。この割合を探るプロセスが,制作全体を特徴づけていると思います」
―― 方法論としては『フライ・ムーン・ダイ・スーン』(2020),『ミッドナイト・クリスプ』(2022)の延長線上にあるのかなと。
「完全な延長線上というわけではありませんが,制作方法や音楽の方向性に類似点はありますね。今作は前半がプロダクション重視,後半がバンドセットという構成になっていて、ビートがしっかりした楽曲を求めつつもミュージシャンとの即興的な要素を取り入れることで,オーガニックな音楽体験を保とうとしました。このバランスを取ることが重要で,今のオーディエンスに合った形だと感じています」
▼本作収録
『EVERYDAY』(Universal Music)