Chick Corea Trilogy 3 永遠に響く旋律 チック・コリア・トリオの最終章『トリロジー3』
- 2025年02月20日
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チック・コリア・トリオの集大成となる未発表ライヴ・アルバム『トリロジー3』が登場。グラミー賞27回受賞,ジャズ界の巨匠チック・コリアが,クリスチャン・マクブライド(b),ブライアン・ブレイド(ds)と共に織りなす圧巻のインタープレイを収録。2019〜2020年のUS,日本,ヨーロッパ・ツアーから厳選された音源は,三者がコンマ秒単位のやりとりを心から楽しむジャズという音楽の理想的な姿が克明に記録されている。
文:村井康司
All Photos by Toshi Sakurai
2010年から20年まで,チック・コリアはクリスチャン・マクブライド(ベース),ブライアン・ブレイド(ドラムス)とのトリオで断続的に活動し,『トリロジー』(2013年),『トリロジー2』(2018年)の2セットのアルバム(前者はCD3枚組,後者は2枚組)をリリースした。『トリロジー』は2010年から12年まで,『トリロジー2』は2010年から16年までのワールド・ツアーからの音源をセレクトしたもので,前者は2014年のグラミー賞「ベスト・ジャズ・インストゥルメンタル」部門を受賞し,後者は2021年のグラミー賞で「ベスト・ジャズ・インストゥメンタル」部門と「ベスト・インプロヴァイズド・ジャズ・ソロ」部門(〈オール・ブルース〉)の二冠に輝いたのだった。「トリロジー」シリーズ第三弾として2月28日にリリースされる『トリロジー3』は,このトリオのラスト・ツアーとなった2019〜20年のライヴ演奏から8曲をセレクトした作品だ。アルバムの内容を紹介する前に,チックが晩年主宰していた2つのアコースティック・トリオ,チック・コリア・アコースティック・バンドと「トリロジー」トリオの特徴について考えてみたい。 アコースティック・バンドの結成は1989年。ジョン・パティトゥッチ(ベース)とデイヴ・ウェックル(ドラムス)がメンバーで,当時この二人は「チック・コリア・エレクトリック・バンド」のメンバーでもあった。このトリオは89年のスタジオ盤『チック・コリア・アコースティック・バンド』と91年のライヴ盤『ラウンド・ミッドナイト(Alive)』をリリースした後活動を休止し,復活したのは2018年,「トリロジー」トリオの活動が一段落していた時期のことだ。
▼本作
『トリロジー3』(Universal Music)