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上原ひろみ Hiromi’s Sonicwonder OUT THERE ジャズのその向こうへ

上原ひろみのユニット「Hiromi’s Sonicwonder」が,待望のニューアルバム『OUT THERE』をリリースする。前作から1年半,不動のメンバーとともに築き上げたバンドサウンドは,より一体感を増し,未知なる世界へと飛び出す。デビュー作『Another Mind』収録の〈XYZ〉が新たに生まれ変わり,ラーメン愛をテーマにした〈Yes! Ramen!!〉,壮大な組曲〈OUT THERE〉など,多彩で叙情的なメロディが心を揺さぶる。さっそく本作への思いを上原本人に聞いた。

インタビュー/文:原田和典

『Sonicwonderland』から,早1年半。上原ひろみのプロジェクト「Hiromi’s Sonicwonder」が,その第2弾となるアルバム『OUT THERE』を発表した。メンバーは上原ひろみ(p,key),アドリアン・フェロー(b),ジーン・コイ(ds),アダム・オファリル(tp)という不動の顔ぶれ。「未知のどこか」に向かってウィットいっぱいに飛び立つ新作について,さっそく上原自身の話をきいてみよう。

進化するバンドサウンド——4人が築いた強固なチームワーク

「バンドとしてのサウンドが本当に強くなりました。最初に顔を合わせた頃は,お互いの出方を意識しながら演奏している感じでしたが,ずっと一緒に演奏して,音を聴きあってきたことによって,バンド感やチームとしてのチーム力がとてもついたと思います」

開口一番,という感じで,この力強い言葉が飛び出した。『OUT THERE』というタイトルに込めた意味は何なのだろうか。

「“知らない世界に飛び出そう”という,外向きな気持ちを示しました。この4人がひとつのチームとして,同じ方向を向いて一緒に進んでいく感じが強く打ち出されていると思います」

ジャケット・デザインは引き続きルー・ビーチが担当。ジャズ・フュージョン・ファンには,ウェザー・リポートのヒット作『ヘヴィー・ウェザー』で知られている巨匠だ。『Sonicwonderland』よりも格段に遊び心がパワーアップした構図,色合いが印象的に残る。

「以前からルー・ビーチの作品が好きで,自分のバンドの求める世界観に合いそうだなと思ったので今回もお願いしました。初めてお会いしたのは,『Sonicwonderland』を発表した後のことです。敬意を持ってくださる,紳士的な優しい方という印象を受けました。面識のない状態で作品をお願いするときは,頼まれた側も頼む側も,お互いどういう人物かわからないという緊張感がありますが,今回の『OUT THERE』はそうしたところをクリアしての依頼でした。“音源を送るので,好きに描いてください”とお願いしたら,このイラストが届きました。最高です」


『OUT THERE』(TELARC)

▼本作収録< Pendulum feat. Michelle Willis>を試聴する