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Everything Jazz シリーズ始動!第一弾Verveレーベルの魅力を深堀りする


※ノーマン・グランツ © William P. Gottlieb/Ira and Leonore S. Gershwin Fund Collection, Music Division, Library of Congress.

時代を超えて輝き続けるジャズの名盤が,今あらためて甦る。ユニバーサルミュージックからリリースされる『Everything Jazz』と題された新シリーズでは,同社が誇る豊富なカタログから選りすぐりの200タイトルがレーベル別に4回にわたって登場。第1弾は,ジャズ史に燦然と輝く名門“ヴァーブ・レーベル”からの50枚。初心者にとっては最高の入口,愛好家にとっては再発見の喜びをもたらす,まさにジャズシリーズの決定版といえるだろう。

文:岡崎正通

名門レーベルの珠玉の50タイトルを厳選 Verveの軌跡

時代を超えて愛され続けてきているジャズ・アルバムがある。今月から4回(5月,6月,9月,10月)に分けて「Everything Jazz」の名のもとに,ユニバーサルミュージックが保有する豊富なレーベル・カタログの中から50タイトルずつ計200枚,そんな名アルバムばかりがリリースされることになった。同社は“ジャズ百貨店”というシリーズを2016年から続けてきていて,今回はそのシリーズをリニューアル。これからジャズを聴いてみたいという人にとっては,どこからでも入ってゆける扉のようなものであると同時に,これまで多くのジャズに親しんできた人も,あらためて耳にして素晴らしさを再認識するとともに感動を新たにする作品ばかり。そんな名盤シリーズの第一回目は“ヴァーブ編”。膨大なカタログをもつ名門“ヴァーブ”作品の中から,選りすぐりの50枚がセレクトされている。

ヴァーブは熱心なジャズ・ファンで,ロサンゼルスでコンサートの企画などもおこなっていたノーマン・グランツの手によって設立されたレーベル。それ以前にグランツがもっていたクレフとノーグランのカタログも統合して,1956年にヴァーブをスタートさせた。グランツのポリシーは徹底したスター主義。一流ミュージシャンを録音すれば必ず素晴らしい作品が生まれるという信念を実践していったことで,トップ・アーティストに声をかけて次々に彼らのプレイをアルバム化していった。もっともグランツは60年代初めに権利をMGMに譲り渡してしまったので,以後はクリード・テイラーなどのプロデュースによって時代にフィットしたヒット作品が多く生み出されてゆく。その後に何回か親会社の移動があったものの,ふたたび80年代半ばからは活発に新録音をおこなって,現在はユニバーサルミュージック・グループのもとで,ジャズのトップ・レーベルとして快進撃を続けている。

そんな長い歴史をもっているヴァーブだけに,今回のラインナップもじつに多彩。録音時期をみただけでも1950年前後から2000年代の初めまで,じつに半世紀にも及ぶ中から素晴らしい作品が選ばれている。LPの時代から何回も再発を繰り返して,ジャズの“古典”として揺るぎない評価を得てきたアルバムが多く含まれているのは当然として,今回のシリーズにはCD時代を迎えた90年代以降に吹き込まれた“新定番”といえる作品も多く加えられているのが注目されるところだろう。

▼購入もできるEverything Jazz第1弾Verve編 特設サイト
https://www.everythingjazz.jp/story/everythingjazz-catalogue-verve/