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José James 1978:Revenge of the Dragon 1978年の鼓動―ホセ・ジェイムズ,魂で奏でるクロニクル第2章

ホセ・ジェイムズが記憶と音の旅を紡ぐ――『1978:リベンジ・オブ・ザ・ドラゴン』は,その時代のソウルやフュージョンへのオマージュを,カンフーやブラックスプロイテーション映画のイメージと現代的な感性を重ね合わせ映し出した自伝的アルバム。東京を夢想するオリジナルや78,79年の名曲カヴァーの数々が,懐かしさと未来をつなぐ,色彩豊かなサウンドスケープだ。

インタビュー/文:伊藤嘉章

現代ジャズ・シーンの魅力を映し出し,その領域を拡大するシンガー,ホセ・ジェイムズ。ジャズとヒップホップという出自からR&B,ソウル,エレクトロやラテンまでのボーダーを身軽に越えて来たが,そこには常にブラック・ミュージックへの深いリスペクトがある。ビリー・ホリデイ、エリカ・バドゥなどへのトリビュートも音の本質を掘り下げて現在の音で表現してきた。昨年のアルバム『1978』は彼の生年である1978年にフォーカスした時代へのトリビュートが見事だった。
その続編ともいうべき『1978:リベンジ・オブ・ザ・ドラゴン』を一聴し驚いたのは前作と大きくトーンが異なっていたからだ。前作の内省性から70年代後半のエネルギーや幸福感へと焦点が変化した。現代のサウンドだが音質は柔らかく一体感もある。来日の機会にお話を伺った。

――前作からの自己プロデュースがさらに進化していますね

J(ホセ・ジェイムズ) プロデューサー,パフォーマー,ソングライターの3つの人格で取り組んだんだ。今回はまず70年代後半の録音技術を掘り下げたかった。コンピューターもProToolsも一切なしの超アナログで2インチテープに2トラック録音した。ヴァン・ゲルダー・スタイルだね。ボーカル,ドラム(ジャリス・ヨークリー),ベース(デヴィッド・ギンヤード/カイル・マイルス),そしてローズ/シンセ(BIGYUKI)という構成でね。それを別のテープに1トラックとして転送し,そこに(黒田)タクヤ(tp)やエバン・ドーシー(as)、ベン・ウェンデル(ts)などがダビングした。そしてターリのコーラスの為にまた1トラックに転送して…という具合で50年代の録音スタイルと70年代の多重録音スタイルが融合しているんだ。

―― 一発録りのヴァイブを感じます

J 一発録りのバンドサウンドには人間的な感覚がある。なにもボーカルはLA,バンドはNYとマイアミで録音っていうのが悪い訳じゃない。でもこれまでの音楽の歴史は全部テープを通してだった。パンクもフュージョンもラテンもディスコも。一緒に演奏しているエネルギーが大好きなんだ。でもこの方法でヒップホップのドラムの音が作れるかはちょっと心配していたけど(笑)


『1978:リベンジ・オブ・ザ・ドラゴン』(Rainbow Blonde/Universal Music)

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