日本ジャズヴォーカル界の第一人者,マーサ三宅が逝去
- 2025年06月18日
- NEWS
※マーサ三宅(vo)
日本のジャズ歌手の第一人者として活躍したマーサ三宅が5月14日に逝去,92歳だった。現在の中国東北部の満州で生まれ,1953年に音楽学校を卒業したあと,ジャズ歌手としてアメリカ軍の基地などを回って経験を積み,ジャズ・クラリネット奏者のレイモンド・コンデのバンドで専属歌手となって頭角を現す。その後,1955年にレコードデビュー。夫でもあった大橋巨泉にも学び,2人の娘である大橋美加と豊田チカもジャズ・シンガーとして活躍している。日本の女性ジャズ歌手の第一人者として,ハンク・ジョーンズ(p)をはじめ海外の著名なミュージシャンと共演するなど,長年にわたって第一線で活躍。また,東京・中野区にヴォーカルスクールを開いて,大橋純子,今陽子といったポピュラー歌手や,三槻直子,金丸正城など多くのジャズ・シンガーを輩出,後進の指導にも力を注いできた。1988年に日本ジャズ界最高の栄誉,「南里文雄賞」を受賞。さらに2000年には紫綬褒章を,2006年には旭日小綬章を受章した。前田憲男トリオとの『A SONG FOR YOU』など,多くの作品で日本随一のジャズヴォーカルである彼女の卓越したヴォーカルワークを存分に感じ取ることができるだろう。(小島良太)
※7月発売のVol.22では追悼記事を予定しています。