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渦巻くグルーヴ,飛翔するギター スナーキー・パピーの敏腕ギタリスト マーク・レッティエリが繰り広げる極上の一夜

文:落合真理
写真提供:COTTON CLUB
撮影:Tsuneo Koga

凄まじい爽快感とダイナミクス溢れる完璧なテクニック,創造力,飛翔するギタープレイ──三拍子揃った,圧巻のライブが東京・丸の内のコットンクラブで繰り広げられた。黒シャツにウォッシュドアウト・ジーンズというカジュアルな姿のレッティエリは,生で見ると想像以上にカッコよく,全身でギターを弾きまくる姿は,しなやかでありながら力強く,実に麗しい。スティーブ・バイ顔負けの超絶プレイから,ヴルフペックを彷彿とさせるポップなチューン,ロマンティックかつキラキラした演奏,多彩なスタイルで終始,観客を魅了し続けた。スナーキー・パピー,そしてフィアレス・フライヤーズでの活躍でも知られるレッティエリだが,最新ソロ・アルバム『キャン・アイ・テル・ユー・サムシング?』を携えての初のコットンクラブ公演は,ディープなファンを興奮の渦に巻き込み,一気に駆け抜けていった️印象だ。
バンドメンバーはロイ・ハーグローブのRHファクターにも在籍したドラマーのジェイソン・“JT”・トーマス,ファンキー・ナックルズのウェス・スティーブンソン(ベース),同じテキサス州ダラスを拠点とするダニエル・ポーター(キーボード)という気心の知れた仲間たち。1曲目はゆったりとしたアメリカーナな雰囲気から次第にエネルギッシュなフュージョンに展開。次は新作から一転して,キャッチーなフレーズ満載の「Canyon Run」,軽快なファンク・チューンの「Dragonfly」へ。80年代初期のプリンスとスティーブ・バイが共演しているような「Shimmy Tiger」は,ギターロックの魅力がてんこ盛り。映画『ターミネーター』に影響されたというクールな「Neural Net」,️お気に入りの裏庭について心地️よいギターで歌う「Greenspace」と続️く。前々作『Deep: The Baritone Sessions, Vol. 2』(2021)(※グラミー賞の最優秀コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバムにノミネート)からの「Tidal Tail」は,タイトなリズムと️ポップなメロディーセンスが余すところなく表れた名曲。彼の代名詞であるバリトンギターの重厚な音色が特徴的な「Magnetar」,激しいフュージョン・ファンク️「Goonsquad」とキラーチューンが目白押し️,JTの神業スーパープレイも飛び出した。そして,最後はメロウでスペーシーな人気曲「Spark and Echo」の壮大な世界観で締めた。
観客との距離の近さも,この夜ならではの魅力だった。レッティエリはMCでユーモアを交えながら日本のファンへの感謝を述べ,終演後にはサインや写真撮影にも気さくに応じるなど,そのフレンドリーな人柄が随所に滲み出ていた。コットンクラブという親密な空間が,バンドの熱いグルーヴと溶け合い,音楽と人のぬくもりが共鳴す️る極上の一夜となった。

マーク・レッティエリ 東京都・丸の内「コットンクラブ」5月31日(土)

1st
■Setlist
1. Lotus/Bubinga
2. Canyon Run
3. Dragonfly
4. Shimmy Tiger
5. Neural Net/Greenspace
6. Tidal Tail/Gigantactis
7. Magnetar
8. Spark and Echo/Goonsquad

■Personnel
マーク・レッティエリ(g),ダニエル・ポーター(key),ウェス・スティーブンソン(b),ジェイソン・JT・トーマス(ds)