Bill Evans with Chuck Israels and Larry Bunker エバンスの西海岸トリオを再検証する
- 2023年11月21日
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ビル・エバンスのデンマーク録音作が,半世紀以上の時を経て公式リリース作品として甦った。『テイルズ~ライブ・イン・コペンハーゲン(1964)』では,ビル・エバンス・トリオ1964年ヨーロッパ・ツアーの際の2箇所のデンマーク録音を収録。60年代中期エバンス・ミュージックの貴重な一片を提供している。ビル・エバンス,チャック・イスラエル(b),ラリー・バンカー(ds)から成る西海岸トリオは,より軽やかでスマートな演奏スタイルが特徴で,今回の音源では,その端正なインタープレイを改めて確認できる。エバンス愛好家のみならず,全ジャズファンに,新たな驚きと感動を与えてくれるはずだ。
文:杉田宏樹
米レゾナンスを舞台に2012年から始まり,ビル・エバンス・エステートのお墨付きを得た巨匠の未発表音源シリーズは,2021年に米エレメンタルへ舞台を移して継続。今年4月リリースの『トレジャーズ~ソロ,トリオ&オーケストラ・フロム・デンマーク(1965-69)』で得た感動が冷めないタイミングで,またまたアーカイブ作品が世に出る。『テイルズ~ライブ・イン・コペンハーゲン(1964)』は,エバンスがレギュラー・トリオを率いて初めて取り組んだ64年8月のヨーロッパ・ツアーから,10日のデンマーク放送“ラジオハウス”での6曲と25日のTVシティでの4曲を収めたもの。エバンスのデンマーク録音作と言えば,69年のコペンハーゲン“ジャズハウス・モンマルトル”録音の姉妹作『ジャズハウス』『ユーアー・ゴナ・ヒアー・フロム・ミー』(87~88年発表)が,長年のファンに記憶されており,本作は『テイルズ』と合わせて半世紀以上前に行われた北欧での足跡をクローズアップする点でも意義が認められる。
テイルズ – ライブ・イン・コペンハーゲン(1964)/ビル・エバンス(Elemental Music/King International)