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Thelonious Monk, Bill Evans, Sonny Rollins, Dave Brubeck etc.「We Want Jazz」シリーズ第2弾 モダン・ジャズ名盤49作

圧倒的輝きを放つ巨星たちの躍動を聴く

文:原田和典

20世紀のアメリカを代表する2大メジャー・レーベル(=クラシックもポピュラーも扱う大レコード会社)である旧CBS(Columbia)と旧RCAの音源は現在,ソニーミュージックエンタテインメント傘下にある。ゆえに,この「ウィ・ウォント・ジャズ」シリーズには,かつて好敵手だった両者の音源が同居している。
 CBSのモダン・ジャズ・アーティスト第1号は誰か。筆者は54年から約15年間,同社の契約アーティストであったデイブ・ブルーベックであると考える。51年の結成以来,ブルーベック率いるカルテットが陽の当たる道を歩まなかったことはなかったのではないかと思われるが,とりわけ59年の『タイム・アウト』,およびシングル盤にもなった<テイク・ファイヴ>は大衆の心を掴んだ。その<テイク・ファイヴ>を作曲し,カルテットの花形ソリストとしても耳目を集めたのがアルト・サックス奏者のポール・デスモンドだ。60年代前半から半ばにかけて,彼はブルーベックとの活動と並行して数々の傑作リーダー・アルバムをRCAに残している。つまりデスモンドはブルーベック・カルテットの一員としてCBSに録音するいっぽう,自身のリーダー・プロジェクトをライバル・レーベルで繰り広げていたのだ。50年代後半から60年代半ばはまた,ステレオ録音~ステレオ・レコードの成長・発展期でもあり,CBSは「360度サウンド」,RCAは「リヴィング・ステレオ」をキャッチフレーズに,広がりの豊かなステレオ録音を次々と送り出した。デスモンド入りのCBS音源とRCA音源を聴き比べるだけでも,両レーベルの“ステレオ観”がみえてくるに違いない。

▶︎「We Want Jazz」オフィシャルサイト

▶︎公式プレイリスト『We Want Jazz : Sampler』

We Want Jazz : Sampler