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Digging into The Latest Trends in Analog Records 円盤蒐集はやめられない〜アナログレコード最新事情

時代が変わってもアナログレコードが我々ジャズファンの必須アイテム,蒐集の基本にあることに変わりはない。昨今のインフレ,円安の影響や,世界的なアナログブームの中でレコード蒐集をめぐる環境は厳しくなるばかりだが,要はそれだけこの黒い円盤には普遍的な価値と底知れない魅力が詰まっていて,それに取り憑かれた人々がますます増え続けていることの証左なのだ。ここではアナログレコードの最新マーケット事情について,「JUDGMENT! RECORDS」オーナーでレコード・プロデユーサーの塙耕記氏に話を聞いた。

文/写真:高橋慎一

Digging into The Latest Trends in Analog Records
「JUDGMENT! RECORDS」の店内(撮影:高橋慎一)

ジャズファンでは知らぬ者のいない名物プロデューサー,塙耕記氏がオープンした「JUDGMENT! RECORDS」。昨年9月のオープン以来,既にアナログレコードファンの間では名店として抜群の知名度を誇っている。塙氏のジャズへの知識,過去の実績から,国内外からジャズの名盤・珍盤・レア盤が続々と集まり,貴重盤の活発なトレードが日々行われている。
本誌がアナログレコード特集を組む際に,外せない重要人物の一人として,塙氏に“ジャズの中古アナログレコード・マーケットの現在”について話を聞いた。

-『JUDGMENT! RECORDS』も開店1年を過ぎ,様々な中古レコードの売買が行われたかと思います。本誌読者として一番きになる,モダンジャズの人気レーベルのトレード状況はどのような状況ですか。

例えばブルーノートですが,オリジナル盤は昔から大人気でした。私たちの大先輩に当たる昭和のレコードバイヤーのみなさんが,戦後から新品輸入盤をたくさん仕入れしてくれた。また,80年代以降は目利きの廃盤店が大量に買付を行うなどして,日本は世界有数のオリジナル盤大国でした。ところが最近ではブルーノートのオリジナル盤は買い付けそのものが難しくなっています。

-それは同レーベルのアナログ盤の人気が,世界的に急上昇しているからでしょうか。

人気の上昇による売買価格の高騰。それに加え3年前からのコロナ禍以降の物価高騰,極端な円安のダブルパンチを受けて,いい出物が流通することが少なくなっています。その煽りを受けて,日本国内で出た再発盤も‘いつの間にそんな高値になったのか?’と驚くような値で取引されています。

『アワ・マン・イン・パリ/デクスター・ゴードン』『変遷/ジョン・コルトレーン』
国内盤独自のレコード帯文化は外国人に特に人気が高い。『アワ・マン・イン・パリ/デクスター・ゴードン』『変遷/ジョン・コルトレーン』は直輸入盤のオビ付き美品でそれぞれ19,800円と12,800円