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Jazz Scene 2023-2024 音楽評論家・佐藤英輔が2023年を総括する

来日ジャズ・ミュージシャンの傾向と魅力とは?

コロナ禍が過ぎ,海外のジャズ・アーティストによる来日公演が活発化した2023年。日進月歩で移り変わるジャズ・シーンの中で,新人アーティストの台頭も含め,どのようなアーティストが日本で求められ,人気を博したのか? 音楽評論家・佐藤英輔氏が2023年の来日ジャズ・ミュージシャンの傾向と魅力を徹底分析する。

文:佐藤英輔

Jazz Scene 2023-2024
ブラッド・メルドーwith 東京フィルハーモニー交響楽団 @初台・オペラシティ(2/6) ©池上夢貢

別掲のリストが,2023年にぼくが足を運んだ来日ミュージシャンの主な公演一覧だ。もちろん行きたくても,用事があり行っていないライヴもある。また,変なのを好む傾向にあるゆえ,オーソドックスな担い手のギグが少ない傾向があるだろう。あくまで,ぼくの個人的嗜好と事情に依るリストであることをお断りしたい。
行ったライヴを書き出していて驚いたのは,1月には来日アーティストの公演に行っていないこと。ところが,2月に入ると7つのライヴに行っている。確かに2022年にもマーカス・ミラーら来日ミュージシャンはいたものの,パンデミック後の海外アーティストの来日は2023年2月に入り数が急に増えたのは確かだろう。
以下に添付リストに沿い,印象に残った出し物に触れていく。まず2月初旬のブラッド・メルドーはソロとオーケストラ(東京フィルハーモニー交響楽団。指揮者は米国人が同行した)両方の公演を行った。事前の取材でスコアは自分で書いたと言っていたが,その美しくも個性的な管弦楽器音の重なりは才気に溢れまくっていた。