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KAZUKI KATSUTA 勝田一樹(DIMENSION) コンテンポラリー・サックスの先にあるもの

DIMENSIONのフロントマンでサックス奏者の勝田一樹と,友田ジュン(key)とのセッションから生まれた,エレクトロ・ポップと生楽器の魅力を大胆に融合した新作『NEO』。友田の得意とするプログラミングを前面に押し出し,シンセサイザーとのユニゾンが新鮮な印象を与えつつ,抜けのいいサックスの音色が自然体で溶け込む。ビッグバンドを彷彿とさせるダブリングテクニックを使用した大迫力の〈THUNDER SAX〉も聴きどころのひとつだ。『NEO』は既成概念にとらわれず,ひらすらに自身の音世界を追求する,勝田一樹の新境地といえよう。

インタビュー/文:村井康司

勝田一樹
勝田一樹(sax)/写真:達川範一(B ZONE) 

DIMENSIONのフロントマンのサックス奏者・勝田一樹が,4作目のソロ・アルバム『NEO』をリリースした。「エレクトロオルタナティブ」というコンセプトのもと,バックトラックとサックスだけでクリエイトした,エレクトロ・ミュージック色の強い意欲作だ。勝田一樹に新作のこと,そしてサックスを始めてからのヒストリーをたっぷりと語ってもらった。

キーボーディスト,友田ジュンとクリエイトした
エレクトロ・ポップなオルタナティブ・サウンド

―新作『NEO』は,友田ジュンさんと二人だけで作り上げたエレクトロ・ポップ・フュージョンと呼びたくなるアルバムです。このアルバムを制作したきっかけはあったのですか?

勝田一樹(以下同)「プログラミングができる友田ジュンと何年か仕事をしていましたので,彼の音作りを中心としたサウンドにしたいな,と思って,曲作りもプログラミングを前提に書きました。今までもまずプログラミングで作ったものを,人間の演奏に差し替えていたんですけど,今回は差し替えないで,そのままでリリースできるクオリティのものを作ろうということにしました」

―勝田さんのサックスは,録音後に音色を人工的に変えたりしているんですか?

「サックスの音は特に加工していないです。エンジニアが仕上げて行く段階ではコンプなどのスタジオの機材を使いますが,サックスの音色を加工することはほとんどしていません。今回は,サックスとシンセサイザーがテーマをユニゾンで演奏しているところがけっこうあるので,サックスの音が変わって聞こえる箇所がありますね。普段はシンセで仮にメロディを入れて,サックスを後でダビングするときにシンセは消すんですが,今回はシンセも残してみようと。でも,サックス10に対してシンセが3,ぐらいです。サックスにかけているエフェクトはリヴァーブとディレイぐらいですね」

―サックスを演奏するときにペダル的なエフェクターを使っているのでもないんですか。

「それもしていません。ステージでも足元にエフェクターがありますよね,とよく言われるんですが,あれは時計なんです(笑)後はディレイだけですね」