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モダン・ジャズ・ファンに聴かせたいFUSION SAX名盤30選

あの頃きら星のごとくリリースされ,胸を熱くしたクロスオーヴァ―/フュージョンの名盤群は,現在の感性で聴くと意外な魅力が見えてくる。ここでは70年代から現代に至るまでのクロスオーヴァー・サウンドの花形であるサックス作品30枚を選りすぐって紹介,今だからこそ先入観なしにその魅力に存分に浸ってもらいたい名作ばかりだ。

文/アルバム選定:馬場雅之

今改めて味わうコンテンポラリーサックスの魅力

サックスは誰もが知っている通り,ジャズというジャンルの花形楽器。ソプラノ,アルト,テナー,バリトン等音域の違いにより,それぞれの個性が備わった楽器でもある。スイング時代からビバップの時代を経て,ロックの台頭などでジャズ・シーンが大きく変化し,やがてクロスオーヴァ―/フュージョンの時代がやってきて,スムース・ジャズといった新しいジャンルも現れた。そんなコンテンポラリーなサウンドの中のサックスの役割がどのようなものであったか,様々なディスクを通して振り返ってみようと思う。
一口にコンテンポラリーなサックス,と言ってもその始まりは60年代後半のクロスオーヴァーの時代に遡る。ジャンルとしてロックが勢いを増していく中,それまでのストレートなジャズの演奏では物足りないと感じるミュージシャンが多く現れ,時流に乗った音楽スタイルを創出するようになった。