SHABAKA シャバカが導く,内省と瞑想の旅路 日本文化 そして尺八への思い溢れるソロ・デビュー作『美の恵み』
- 2024年04月16日
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ロンドン新世代ジャズシーンの最重要人物,シャバカ・ハッチングスことシャバカによる衝撃のソロ・デビュー作『美の恵み』。本作は,シャバカの内なる精神の旅路を記録したものであり,尺八とフルートの響きが,静謐で美しい水墨画の如き心象風景を映し出している。すべてのバンド活動を停止し,サックスさえも辞めてしまったシャバカが求める理想の音楽像とは? 尺八・フルートを通じて,自然との対話と,個人的な音楽の旅を続けるシャバカに話を聞いた。
インタビュー/文:落合真理
その深淵なる海の底から抜け出せなくなるほど,静謐で美しいー。水墨画の如き一切無駄のない尺八の音色,そして,息をのむほど甘美でカラフルなフルートの響き。2010年以降,盛り上がりを見せるロンドン新世代ジャズの牽引者シャバカ・ハッチングス,シャバカ名義による初のソロ・アルバム『美の恵み(原題: Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace)』は,これまでの作品の中でも最も内省的かつ瞑想的な,内なる精神の旅路を記録したものだ。コメット・イズ・カミング,サンズ・オブ・ケメット,シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ,すべてのグループ活動を停止し,身体の一部であったサックスすら辞めてしまった彼の脳内で今,何が起こっているのか? シャバカの内面を探るべく,筆者はアーティストにリモート・インタビューを試みた。
「まず,すべてのバンド解散が重なったというのも一つの大きな理由だけれど,それは必然でもあった。バンドはある種の特定の演奏方法を示し,すべてサックスを中心に構築されていたからね。音楽そのものもバンドが始まった時期と深く関係している。私が今,人生のステージ,音楽的シナリオで求めているのは,自らの音楽と表現法に対する新たな文脈だった。そのためにはフルート(尺八含む)に集中する必要があったんだ」
『美の恵み/シャバカ』(Impulse!/Universal Music)