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SADAO WATANABE 珠玉のバラードが紡ぐ,渡辺貞夫の新たな音楽詩 『PEACE』に込めた平和への祈り


渡辺貞夫の新作『PEACE』は,彼の音楽人生における初の試みといえるバラード・アルバム。フランク・シナトラがかつて歌い上げたアメリカン・スタンダードやジャズメン・オリジナル,そして深い感情が込められた自作曲が収録され,渡辺はサックスを通じてまるで言葉を紡ぐかのように情感豊かなメッセージを伝えている。ジャズの伝統を重んじつつも新たな音楽的表現に挑んだ『PEACE』は,渡辺貞夫の新たなマスターピースとして音楽ファンの心を捉えることだろう。

インタビュー/文:村井康司

4月24日にリリースされた渡辺貞夫の新作『PEACE』は,長いキャリアの中で初めてと言っていい「バラード・アルバム」だ。〈アイ・フォール・イン・ラブ・トゥー・イージリー〉や〈アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー〉などのスタンダード,ホレス・シルバーの〈ピース〉,J.J.ジョンソンの〈ラメント〉といったジャズメン・オリジナル,そして渡辺貞夫の4曲が収録され,美しい音色とエモーショナルな演奏が心に響く。

「新婚当時,僕も家内もシナトラのファンだったんですよ。夜寝る前に『ウィー・スモール・アワーズ』というアルバムをよく聴いていて,いつかはバラードのアルバムを作りたいな,とずっと思っていたんです」

確かにここに収録されているアメリカン・スタンダード4曲は,どれもフランク・シナトラが歌っていた曲だ。

PEACE
『PEACE/渡辺貞夫』(Victor)