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KAMASI WASHINGTON Fearless Movement カマシ・ワシントン “恐れを捨て,全てを解き放つために”

KAMASI WASHINGTON  Fearless Movement
Photo by Vincent Haycock

2010年以降のジャズの流れを変えたカリスマ,カマシ・ワシントンの新作がリリースされた。深い精神性と強靭な肉体感覚を湛えた彼の音楽は,パンデミックを経ていかなる変化を遂げたのか。タイトルに込められた“恐れずに動くこと”の先に見える彼の考えるジャズの本質とは? 聴く者の心と身体を解き放つ音楽,そして言葉がここにある。

インタビュー/文:鈴木りゅうた
Photo by Vincent Haycock

音楽と身体表現は「兄弟姉妹みたいなもの」

「ここでいう“ダンス・アルバム”は,ダンス・ミュージックのアルバムという意味ではない」と語るカマシ・ワシントン。自身名義の作品としては時間を置いてのリリースとなったミレニアル世代のカリスマ的サックス奏者が放つ新作『Fearless Movement』は,2010年代以降に人気を博してきた今までのサウンドと趣を変えた。テーマは”動き”だ。「叔母がダンサーでね。子供の頃,よく彼女のスタジオで皆がマッコイ・タイナーやジョン・コルトレーンの音楽に合わせて踊っているのを見たよ。それで自分もあんな風に人が身体を動かしたくなる音楽を作りたいと思っていたんだ」。音楽と身体表現は「兄弟姉妹みたいなもの」とカマシは言う。「例えるなら二つは家族。繋がりは強いが存在としては別のもの。音楽は自分自身の心の姿を表現し,ダンスは自分自身を動きで演じる。 
そして二つは互いに反応することもできる。だが芸術様式としては別のものだ」。

『Fearless Movement』(BEATINK/Young)
『Fearless Movement』(BEATINK/Young)