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寺井尚子 Naoko’s しなやかな感性とほとばしる情熱 稀代のヴァイオリニスト 寺井尚子が 閉塞からの癒しと希望を未来へ解き放つ

寺井尚子が立ち上げた新レーベル“Saku Music”からの第一弾であり,4年ぶりとなる新作『Naoko’s』。ラテン曲<希望>で始まり,バラード曲<夢>で締め括られる本作は,彼女が経験した不安や焦りと同時に,コロナ禍で見出した希望,そして彼女の深い人類愛とメンバーへの信頼が音楽に刻み込まれ,閉塞からの“癒し”と“希望”のドラマが描かれている。

インタビュー/文:重森洋志

イントロからその音世界へ一気に引きずり込む“希望”という名のラテン曲で幕はあがり,未来を展望した“夢”への歩みを促す安らぎに満ちたバラード曲で掉尾が飾られる。寺井尚子(vln)の4年ぶりとなる新作『Naoko’s』は,そのタイトルからもわかるとおり,その間には不安に駆られ,逡巡し,しかし同時に彼女の切なる思いと願いが詰め込まれた,これまでになく心の裡から発せられた壮大な人間愛への表現であった。

「これまでどおり作編曲から過酷なリハーサルを経て,全員がもっとも充実したコンディションで録音に臨んでいました。でも違ったのはそのスタート地点へ至るまでの,経験したことのない,暗く長いトンネルにおける諦めにも似た孤独感。世界中の人が同じくそのことに震えながら日々を暮らし,私も身の振り方に整理がつかないまま無為に時間を過ごしていました。果たしてこれって本当に終わるのだろうか」

Naoko
『Naoko’s』(Saku Music)