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クリスチャン・マクブライド・ビッグバンド 新章の幕開け―世代をつなぐ音の架け橋


※Photos by Evelyn Freja

9度のグラミー賞に輝く現代最高峰のベーシスト,クリスチャン・マクブライド率いるビッグバンドが帰ってきた。最新作『Without Further Ado, Vol.1』は,2012年以来続くニュージャージーでの共演から生まれた膨大なレパートリーを土台に完成。スティングやアンディ・サマーズ,ダイアン・リーブス,サマラ・ジョイ,ホセ・ジェイムズ,さらには新星アントワネット・ヘンリーまで,多彩なゲストが参加。10年以上に及ぶステージの蓄積を形にした本作は,伝統と革新,世代と世代をつなぐ架け橋となる。

インタビュー/文:落合真理

現代最高峰のベーシストにして,9度のグラミー賞を誇るクリスチャン・マクブライド。圧倒的なグルーヴと包容力ある音楽観でジャズファンを魅了し続ける彼が,再びビッグバンドという大編成の舞台に帰ってきた。『The Good Feeling』(2011)『Bringin’ It』(2017)『For Jimmy, Wes and Oliver』(2020)に続く新作『Without Further Ado, Vol.1』が8月にリリース。スティング,ダイアン・リーブス,サマラ・ジョイ,セシル・マクロリン・サルバントら豪華ボーカリストが名を連ねる今作は,彼のビッグバンド新章を飾るものだ。彼はこのプロジェクトにどんな想いを託したのか。直接本人に話を聞いた。

―― 『Without Further Ado, Vol.1』の構想はどのように生まれたのでしょうか。

私のビッグバンドは2012年からニュージャージー・パフォーミング・アーツ・センターのガラで毎年ハウスバンドを務めています。様々なシンガーを迎えて共演してきた結果,一度しか演奏していない譜面が山のように溜まっていって,“よし,これでレコーディングしよう!”と決めました。

―― 10年以上に及ぶステージの積み重ねが,本作の豊かなレパートリーにつながっています。タイトルにはどんな意味が込められているのでしょうか。

TVショーなどでMCが“それではお待たせしました!”と紹介する時の決まり文句なんです。“何も話さずとりあえず始めよう”という意味で今作にぴったりだと感じました。

―― ザ・ポリスの名曲「Murder by Numbers」でスティング,そしてアンディ・サマーズとは初めて共演されています。当初は「Shadows in the Rain」を演奏する予定だったと伺いましたが。

偶然ラジオで流れていたのを聴いて変えたんです。スティングとは何度も共演してきましたが,アンディ・サマーズとは初めてで“Murder by Numbers”をやると決めた際,スティングが“アンディを呼ぼう”と提案してくれました。ザ・ポリスの二人と共演できるなんて,一生に一度の経験でした!

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